立替か扶養義務の履行か~相続税の債務控除や相続財産からの払戻し~

1 被相続人のためにその生前に立替えた費用(相続税申告の際の債務控除の可否や相続財産からの支払)

 相続税の申告では、現に存する確実な債務は相続財産が控除することができます。申告の際に、相続人の中で、被相続人のためにその生前に立替えた費用があり、それを債務控除の対象にならないかと質問を受けることがあります。 また、相続税の申告までは至らない遺言執行の際にも、被相続人のためにその生前に立替えた費用があるので、支払ってほしいと言われることがあります。 このような場合には、以下の事実を確認して、相続税の債務控除の対象となるか、立替金と認定できるか判断することになります。

2 確認しなければならないこと

⑴ 支出の事実の確認

 最初に確認するべき点は、本当に支出されたものかどうかということです。領収証がないと、そもそも支出があったか否かの認定はかなり難しいと思います。 次に、領収証があっても、被相続人のために支出されたものかという認定も必要となりますので、購入品の内容又は領収証のメモなどから認定していくことになります。

⑵ 誰がお金を出したかの確認(被相続人が出していないことの確認)

 次に誰がお金を出したかという確認が必要となります。被相続人の現預金から出していたのであれば、「立替」ではなくなります。 相続人が出したのか、被相続人が出したのかについては、立替債務に係る領収証を誰が保有していたか、領収証の宛名、購入品目、相続人・被相続人の現預金の増減状況などから判断することになります。

⑶ 扶養義務の履行か否かの確認

 相続人が被相続人のために支出した費用であると認定できたとしても、民法877条の扶養義務の履行か否かについても検討を要します。 扶養義務の履行か否かは、①扶養義務者に余力があること、②扶養請求者に経済力が乏しいことが必要となります。扶養請求者と扶養義務者の経済的余力は、相対的なものといえるので証拠を吟味する必要があります。

3 お困りの場合には

 相続税の申告で、立て替えた費用が債務控除の対象となるかわからない、相続財産から生前に立て替えた費用を支払ってもらえるかわからないと言いうことでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

   

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